【英文法】倒置について|TOEIC800点を目指すなら知っておきたい
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こんにちは。リノキア英語ブログです。
今回は「倒置」という文法について解説をしていきます。
TOEICのパート5,6でたまに問題として出題されるだけでなく、TOEICの文中でも、とくに記事問題のような難しめの文中で使われる文法です。
今回はそんな「倒置」という文法について、TOEICという土俵において知っておくべき内容をまとめていきたいと思います。最後にはTOEICのパート5形式の練習問題をつけていますので、理解度チェックにお役立てください。
もちろん最初に練習問題を解いてから、解説コーナーを読んでいただいても大丈夫です。使いやすいようにご利用ください。
それではスタートです!
1.倒置とは
ふつうの英文はSVの並びで構成されますが、これが逆になってV→Sの順番になったものを「倒置」と呼びます。
倒置が起きるもっとも身近な例は「疑問文」です。
Are you a student? のような疑問文ですが、まさにV→Sの語順になっていますよね。
このように英語は「倒置」によって疑問文を作るのが一般的です。
裏を返せば、疑問文では倒置が起きた語順になっていると言うことができます。
Do you like Japanese food? や Can you help me? みたいに、一見するとSVのままの語順でも、DoやCanといった助動詞が文頭に出ているため、倒置が起きているという解釈になります。
V(動詞)+S(主語)の語順になること(疑問文がその代表例)
2.倒置が起きるパターン
先ほど、「倒置は疑問文を作るときに起きる」と書きましたが、それ以外にも倒置が起きるケースがあります。ここではTOEICで重要になることを扱っていきます。
2‐1.Onlyが文頭に出ているとき
まず押さえておきたいのが、Onlyが文頭に出ている場合です。
Only in this way does the machine work.
(このようにしたときだけ、この機械は作動します)
この文のように「~だけ」というのを強調したいとき、Onlyが文頭に出ます。そしてこれが倒置の条件となり、うしろが疑問文の語順に変わります。
また、文頭に出るOnlyは、if, when, afterといった接続詞とセットになることもあります。TOEICにおいては、接続詞とセットになるケースのほうが多いと思います。
例文を見てみましょう。
Only if you submit the survey by June 20 will you receive a discount coupon.
(6月20日までにアンケートを出した場合に限り、割引クーポンがもらえます)
接続詞とセットになった場合、倒置が起きるのは、後半の部分であることも大事です。「~だけ、~に限り」の結果である部分(ここでは「割引クーポンがもらえる」の部分)だけが倒置されます。
ちなみに先ほどのonly ifが文中にある場合は倒置にはなりません。
You will receive a discount coupon only if you submit the survey by June 20.
和訳では同じような意味になりますが、Onlyが文頭にあるかどうかで文の印象が大きく変わります。Onlyが文頭に置かれることで強調の感じが出てきますね。
2-2.否定語が文頭に出ているとき
続いての倒置が起きるパターンは、否定語が文頭に出ているときです。
否定語とは、【not, never, hardly, seldom, nor】といったものです。
まずは例文で見ていきましょう。
Never have I seen such a wonderful movie.
(そのような素晴らしい映画は、一度も見たことがありません)
※元の文は、I have never seen such a wonderful movie.
never, nor, hardlyあたりはTOEICでも見かけます。これらの否定語を文頭に置くことで強調され、倒置が起こります。
続いてnotで始まる倒置文を紹介していきますが、これは他の否定語とは違い、「not+接続詞」「not+前置詞」のセットになって文頭に出て、倒置が起きていきます。
1.Not only was it raining all day but also it was very cold.
(1日ずっと雨が降っていただけでなく、とても寒かった)
※Not only A but also B「AだけでなくBも」の構文です。
2.Not until last week was the new project announced.
(先週になってようやく、新しいプロジェクトが発表された)
※not until ~は「~になってようやく」という訳になります。
これが倒置におけるnotの特徴です。
最後の否定語として紹介するのはnorです。これは少し変わっていて、文頭に置いても倒置が起きますが、文中に置いても倒置が起きます。
A:I don’t want to go to the party tonight.(今夜のパーティーに行きたくないな)
B:Nor do I.(私もだよ)
☆「Nor+倒置文」で「同様に~でない」という意味になります。直前の否定文に同意するのに使われます。ちなみに、Neither do I. と言っても同じ意味になります。
もう1つ、このパターンでは So も使われます。こちらは肯定文に同意するのに使われます。
A:I love cheesecake.(私、チーズケーキ大好き)
B:So do I.(私もだよ)
続いては、norが文中に出てきて倒置が起きるパターンです。昔の話になりますが、2019年12月のTOEIC公開テストを受験した際のパート5で出題されていました。
Mark didn’t attend the meeting, nor did he explain why.
(マークは会議に出席しなかったし、理由も説明しなかった)
このように、「否定文+nor倒置文」という形になることで、「~でもなければ、~でもなかった」という否定の内容を2つ続けさせることができます。
ここまでが否定語を用いた倒置の例になります。
2‐3.補語が文頭に出ているとき
頻度はかなり低いと思いますが、TOEICの公式教材には出ていることなので、触れていきます。
補語は「C」と呼ばれるもので、be動詞のあとに続く名詞・形容詞のことを指します。
補語が文頭に出てきて強調されるとき、倒置が起こります。
まずは例文を見ていきましょう。
Satisfied were the participants who listened to Ms. Sato’s speech.
(満足していたのは、佐藤氏のスピーチを聞いた参加者たちだった)
※元の文は、The participants who listened Ms. Sato’s speech were satisfied.
この文のように、satisfiedという補語を文頭に持ってくることによって強調され、倒置が起こります。
2‐4.Here, Thereが文頭に出ているとき
最後は、Here, Thereが文頭に出ているパターンです。
これは会話文のなかで見られます。見たことのある人も多いと思いますので、簡単に紹介していきます。
Here is your receipt.(こちら、レシートです)
HereのあとにV→Sの語順ができていますね。これは、Here is ~「~をどうぞ」というフレーズで覚えている人も多いかと思います。そのほうが覚えやすいですね。
続いては一般動詞バージョンです。
Here comes Mr. White.(ホワイト氏がやって来ました)
今までの例では、一般動詞があるとdo, didを使って疑問文の形になるのが倒置でしたが、これだけはちょっと違っていて、be動詞と同じような倒置になります。
また、細かいことになりますが、Here, Thereが文頭に出ているパターンは、主語が「代名詞」だと倒置が起きません。
Here he comes.(彼が来たよ)
主語がhe(代名詞)なので、倒置が起きないのです。これは「そういうもの」として覚えておいてください。
そして「~がある」という意味のThere構文も倒置が起きている代表例です。
There are some files in the cabinet.(戸棚にファイルがいくつかある)
Here,Thereの倒置文はかなり身近なので、目にすることも多いかと思います。TOEICで問題として出ることはないと思いますが、覚えておくと会話で使えますね。
以上、TOEICのために知っておきたい倒置のパターンでした。
続いて練習問題に入ります。
3.TOEICパート5形式の練習問題
それでは練習問題で理解度をチェックしていきましょう。1問あたり25秒以内で解いてみてください。
問題(全5問)
Ms. Peterson didn’t call us regarding the number of paintings she would exhibit at our gallery, —— did she send us an email.
(A) any
(B) than
(C) nor
(D) even
According to the company rules, only when unavoidable situations arise —— the staff to work from home.
(A) do they allow
(B) to allow
(C) for allowing
(D) they allow
Most —— about Cindy Dawson’s presentation was her ability to clearly explain the main points.
(A) impress
(B) impression
(C) impressive
(D) impresses
Never —— Mr. Brown used such a complicated software that he needs a lot of help from the Technical Support Divison.
(A) ever
(B) did
(C) was
(D) has
So —— was the location that many business owners were eager to rent the office space.
(A) conveniently
(B) convenient
(C) convenience
(D) more conveniently
解答と解説
Ms. Peterson didn’t call us regarding the number of paintings she would exhibit at our gallery, —— did she send us an email.
(A) any
(B) than
(C) nor
(D) even
解答:(C)
空所後が疑問文の語順になっているため、倒置が起きていると分かります。
選択肢のうち、倒置の条件となれるのは、否定語である(C)norだけなので、これが正解です。
(訳)Peterson氏は、アートギャラリーに展示する絵画の数について電話もしてこなければ、メールも送ってきませんでした。
語句
・regarding「~に関して」
・the number of「~の数」
According to the company rules, only when unavoidable situations arise —— the staff to work from home.
(A) do they allow
(B) to allow
(C) for allowing
(D) they allow
解答:(A)
英文がonly whenで始まっているため、後半の文では倒置が起きます。
倒置は疑問文の語順なので、(A)が正解です。
they = company rulesとなっています。
本当の文頭は、According to~ですが、これは副詞の働きをしており、副詞はあってもなくても良いため、ここではカウントされません。
(訳)会社規則によると、やむを得ない事情が起きたときに限り、在宅ワークをすることが許可されます。
語句
・unavoidable「やむを得ない」
・arise「発生する」
Most —— about Cindy Dawson’s presentation was her ability to clearly explain the main points.
(A) impress
(B) impression
(C) impressive
(D) impresses
解答:(C)
品詞問題です。
この文は、本来ならば、Her ability to clearly explain the main points was most ~という英文であったのが、be動詞に続く補語が文頭に出たことによって、倒置された形となっています。
空所に入るのは補語である単語なので、名詞か形容詞になりますが、意味的にここでは形容詞(C)impressiveが適切なので、これが正解です。
(訳)Cindy Dawsonのプレゼンテーションでもっとも印象的だったのは、要点をわかりやすく説明できる彼女の能力でした。
語句
・impress「~を感動させる」
・impression「印象」
・impressive「印象的な」
Never —— Mr. Brown used such a complicated software that he needs a lot of help from the Technical Support Divison.
(A) ever
(B) did
(C) was
(D) has
解答:(D)
文頭に、否定語neverが出ているため、倒置であるとわかります。
文意から判断して、「~したことがない」という現在完了形の経験用法が適切であるため、(D)hasが正解となります。
(A)everは意味が成立しません。
(B)didは、動詞usedと合わないので、不適切です。
(C)wasは受動態となり、「Brown氏が使われる」ことになってしまうので、やはり意味的におかしいです。
(訳)Brown氏は、そのような複雑なソフトウェアを使ったことがなかったので、テクニカルサポート部からの助けを大いに必要としています。
語句
・complicated「複雑な」
So —— was the location that many business owners were eager to rent the office space.
(A) conveniently
(B) convenient
(C) convenience
(D) more conveniently
解答:(B)
品詞問題です。
倒置が起きているため、本来は、The location was so —— that ~となっていることに気づけると簡単に解けます。
be動詞の補語となり、さらにsoで修飾できるのは、形容詞の(B)convenientだけなので、これが正解です。
(訳)場所がとても便利であるため、多くの経営者が、その事務所を借りたいと熱望しました。
語句
・be eager to~「~したいと強く思う」
4.おわりに
いかがでしたでしょうか。
「倒置」そのものが問題として出されることは少ないですが、パート7の記事問題のようなフォーマルな英文では、よく使われています。
TOEIC800点以上を目指すのであれば、理解しておきたい文法だと思います。
倒置はフォーマルさを表現したいときや、文のリズムを調整したいときに使われると言いますが、自分で使うとなると難しいところがありますね。
まずは読んで分かる状態を目指し、そこから使う練習をしていくのが良いと思います。
今回の記事によって、TOEICで出題されたときに解答できた人が1人でも増えることを願っています。それでは以上、「倒置」についての解説記事でした。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。