公式TOEICプラクティス リーディング編のレビュー
ご覧いただき、ありがとうございます。リノキア英語ブログです。
今回ご紹介するのは『公式TOEIC Listening&Reading プラクティス リーディング編』です。
公式TOEIC Listening & Reading プラクティス リーディング編 新品価格 |
2020年8月発売の公式教材です。
まずは感想ですが、全体的に「う~ん」という微妙なところです。何を意図しているのか、どこを目指しているのか、それが分かりにくいテキストと感じましたね。
もちろん良い点もありましたので、そちらも含めて紹介していきます。この記事の目的は、テキストの帯にあるような宣伝文句を信用しすぎてはいけないと伝えることです。
悪かった点もはっきりと書くため、このテキストを使おうと考えている方にはマイナスになってしまうかもしれません。この記事で書くことは、僕個人の100%主観によるものですから、使う人によって感じ方が違うのは承知しています。したがって、記事の内容を100%信用せずに、最後はご自身のフィーリングを信じて、使う・使わないの判断をしていただけたらと思います。
いったい何が悪いのか?
テキストの目的が分からない
当然のことですが、TOEICのテキストには目的があります。
・単語を増やすための単語集
・文法を強化するための文法問題集
・長文を練習するための読解問題集
・総合的な練習をするための模試
模試を除くと、TOEICのテキストは単語・文法・長文のどれかにフォーカスしています。目的がはっきりしていますから、目標に応じてテキスト選びができます。そして多くの人は「苦手」を克服するためにテキストを買います。
ですがこの『公式プラクティス リーディング編』は、テキストを使用した未来にどんな成果があるのか、そこが分からないのです。
ちなみにテキストの帯はこんな感じです。
つい買いたくなっちゃうような誘い文句が並んでいますよね。
ただ、テキストを最後まで使った僕にしてみれば、中身の無さを隠すためにキャッチ―な表現を用いているとしか思えないのです。
一番気になったのは、「TOEIC L&Rスコア 350点~700点レベル」のところで、広すぎます。350点の人にぴったりなテキストは700点の人には簡単すぎるし、700点の人にぴったりなテキストは350点の人には難しいです。
ただ単に、350~700点のスコア帯にいる人が一番多いからという理由で、そう設定しているんじゃないですかね。
また、現状のスコアではなく、目標スコアとして「600~730点を目指す人にオススメ」のように書いてくれたら、ユーザーも決断しやすいと思います。
文法解説は難しめ+教科書的
このテキストのメインパートは20個のユニットで構成されています。
そして各ユニットの最初には文法解説があるのですが、初心者にとっては難しい説明が多いです。それに加えて解き方のコツのようなものも説明されていますが、上級者にとっても難しいプロセスであることが多々ありました。
TOEIC300~500点の人は、解説を読んでも「???」となる可能性が高いですが、その原因は、いかにも教科書的な説明です。実際に読んでみると感じるかもしれませんが、ザ・解説という感じです。すでに文法を理解している人なら問題ないですが、そうでない人には苦痛の解説です。
続いて、長文読解で紹介されているポイントです。コツとして以下のようなことが推奨されています。
1.文書形式を把握する
2.発信者と受信者の関係を把握する
3.概要(主題や目的)を捉える
4.詳細を理解する
これは確かにその通りだと思います。
惜しいのは一気に紹介していることです。まだ英文に慣れていない段階なのに、たくさんのポイントを意識しようとすると、処理しないといけない情報が多すぎて混乱してしまいます。
ご自身でやるときは、1つずつ意識できるようにしていくのがいいです。
練習問題の目標タイム設定が雑
各ユニットは3部構成です。ウォームアップ→プラクティス→チャレンジと進みます。
チャレンジでは目安となる解答タイムが設定されていますが、それがあまり良くないです。
パート5,6のチャレンジ問題は6問あり、解答タイムは2分30秒です。これは妥当な設定ですが、対象レベルの広いテキストなので、目標スコアごとに目標タイムも設定してあると良かったです。
一方、パート7のほうはシビアで、シングルパッセージは一律3分30秒です。ダブルパッセージは5分、トリプルパッセージは6分と長めに設定されていますが、TOEIC400~500点だとタイム内に収めるのは非常に厳しいです。
でも一番悪いのは、シングルパッセージの目標タイムが問題数に関係なく3分30秒に統一されていることです。
設問数が変われば、必要タイムも変わるのは当然ですよね。それなのに3分30秒で一定なのは意味不明です。TOEIC対策をちゃんとやったことのない人間が何となくで作っている感が否めません。
Unit19、20では「スキミング」や「スキャニング」というカッコイイ読み方が紹介されていますが、はっきり言って不要です。ただの斜め読みですからね。これをTOEIC350~700点の人が実践してしまったら、正しく読もうとする習慣が身につきません。
本当に余計なことなので絶対に真似しないでください。
いろいろなことを詰め込んでしまったがゆえに、何を目的にしているのかが分からないテキストが出来上がってしまったわけですね。
良いところはあるの?
このテキスト1冊に「318問」の問題が収録されています。問題パターンも網羅しているので、練習素材としては使えますね。
ただ、それだけです。
公式教材であることもプラスですが、それを活かしきれていない内容なのが残念!
これを買うくらいなら、公式問題集のほうが絶対にいいです。
帯にあるような「TOEIC350~700点」の人は、気をつけてください。もっと役立つテキストが絶対にありますから。
まとめ
(やめたほうがいい)|買わなくていいと言っても過言ではない
TOEICの問題研究が目的だったり、1問でも多くの公式問題を解きたいという方を除いては、買う必要のないテキストだと思います。
文法を伸ばしたいなら文法問題集、パート7を強化したいならリーディング模試、のように目的別で1冊ずつ揃えたほうが効率的です。
イマイチな器用貧乏を雇うよりも、各分野のプロを集めたほうが満足度は高いです。
今まで様々なテキストレビューを書いてきましたが、ここまで否定的になってしまったのは初めてです。「公式教材」という立派なイスでふんぞり返っているようなテキストだったので、せっかく出すならその名に恥じないものを作ってほしいという思いも込めて書きました。
今回の記事がテキスト選びの参考になれば幸いです。
それでは最後までご覧いただき、ありがとうございました!