TOEIC公式問題集12の難易度レビュー! 各パートを詳細分析
今回から少し値上げに
こんにちは、リノキア英語ブログです。
今回は「TOEIC公式問題集12の難易度」について書いていきたいと思います。
『TOEIC公式問題集12』は2025年10月に発売されました。
表紙はピンク色で、価格は税込3,630円です。前回の公式問題集11は税込3,300円だったので1割値上げされた形です。話は逸れますが、TOEIC公開テストのリピート割も値上げのほうに改定されました。運営さん、もうちょっと頑張らないといけませんね。リピート割を廃止してもいいから、素の受験料(2025年10月時点では税込7,810円)を安くしたほうがいいと思います。
公式問題集12の発売記念とTOEICの日(10月19日)をかけて、プレゼントキャンペーンも実施するようです。手のひらサイズの公式問題集(豆ガシャ本というらしい)が毎月200名に当たるみたいですが、そんなキャンペーンをする予算があるなら受験料が割安になるバウチャーをもっと頻繁に出してほしいです。テストの運営団体なんだから、受験者を増やす努力をしましょうと。一部のTOEICファンのためのキャンペーンなんか意味ないですよ。
さて、愚痴っぽくなってしまいましたが、前置きはこのくらいにして『TOEIC公式問題集12』の難易度について解説していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
テスト1の難易度
どの問題も1文が長めでした。No.1からいきなり難しいので、面食らう人も多いかもしれません。No.3もかなり難しいです。No.2, 4は易しめで、No.5, 6は普通レベルという感じでした。文章の長さだけでなく、単語レベルも高めです。今までの公式問題集に出ていた単語もあれば、1度も出ていなかった単語もありました。長い文章を聞いて処理する能力、そして単語の意味をきちんと覚えているかどうかが試される、ハイレベルなパート1です。公開テストに出たら、間違いなく「難」判定する人が多いことでしょう。練習としては有意義なので解く価値はあります。
【正解数の目安】
600点目標:4問正解
700点目標:5問正解
パート1に続いて、1文が長いと感じるものが非常に多く、とりわけ質問文のほうで長いと感じることが多かったです。明らかに難しく作られていますね。公開テストだったら間違いなく「難」判定です。ここまで難しいのは公開テストでもほとんど経験したことがありません。文章の長さだけでなく、語彙レベルも高めに設定されていると感じました。
比較的解きやすかったのは、No.7, 11, 12, 15, 16, 17, 18, 21, 26 です。
とりわけ難しかったのは、No.10, 23, 27, 29, 30 です。
【正解数の目安】
600点目標:17問正解
700点目標:19問正解
先読みの文章量はノーマルで、会話の内容、ナレーターのスピード、どれをとっても平均的なパート3でした。セリフ問題、グラフィック問題どちらも難しいものは無かったです。
キーワードが拾えれば解ける問題は22問ありました(No.32, 34, 35, 36, 38, 40, 41, 42, 43, 45, 47, 49, 50, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 63, 66)。一昔前は6~7割くらいはキーワードを言ってくれていたのですが、今回は6割弱ですね。ただ、公開テストでもこのくらいです。単語を拾って解くよりも、言い換えに気づいたり内容を理解する力のほうにだんだんと重きが置かれている印象です。
【正解数の目安】
600点目標:30問正解
700点目標:33問正解
パート4にしては先読みの文章量が少なめです。普通だともうちょっと文章量が多いと思っておいたほうがいいです。難しい問題はところどころありましたが、キーワードを拾って解ける問題もそれなりにあるので、正解数は確保しやすい難易度であると思います。セリフ問題の難易度は中くらいで、グラフィック問題は1問だけ難しく、もう1つは簡単でした。
キーワードが拾えれば解ける問題は17問ありました(No.71, 74, 78, 80, 81, 82, 84, 87, 88, 89, 90, 91, 94, 95, 97, 98, 100)。これらの問題は単語を聞き取って素直に選べば正解できます。全体の6割弱なので、割合としては標準的です。一方、難しい問題もところどころ含まれており、とりわけNo.73, No.89, No.96は難しかったです。ここでペースを乱されないことが大事ですね。
【正解数の目安】
600点目標:21問正解
700点目標:24問正解
品詞問題が8問(No.101, 105, 107, 113, 117, 123, 127, 129)で、No.127以外はすべて基礎レベルです。600点目標の場合でもNo.127以外は全問正解が望ましく、そのくらい簡単でした。
動詞問題が2問(No.111, 125)で、No.111は基本レベル、そしてNo.125がやや難しいレベルです。700点目標でしたら両方正解しておきたいですね。
その他の文法問題は、No.103が間接疑問で標準レベル、No.108が数量形容詞に関するもので標準レベル、No.110, 122が前置詞・接続詞問題でどちらも標準レベル、No.115が代名詞問題でやや難しいレベル、No.119が動名詞問題で標準レベルです。
それ以外の問題は、文意をきちんと理解して解く問題です。難しいと言えるのはNo.124, 128の2問だけで、残りはすべて簡単~標準レベルです。語彙レベルも平均的であり、TOEIC用の単語集を1冊きちんとやれば覚えられる単語ばかりです。ここまで易しいパート5は珍しく、同じレベルが公開テストで出てくるとは思わないほうがいいです。
【正解数の目安】
600点目標:21問正解
700点目標:24問正解
品詞問題が3問(No.131, 139, 143)で、No.143だけがやや難しく、他2問は簡単です。そして動詞問題が2問(No.132, 135)で、どちらも標準レベルです。
それ以外の語彙問題・文挿入問題については簡単~標準レベルの問題ばかりで、難しいと感じる問題は1つもなかったです。文章量も少なめで、内容も分かりやすいものばかりなので、全体的にはかなり易しいパート6です。
公開テストにもこのレベルのパート6は出ているため、本番と同レベルと思っても大丈夫ですが、これがスタンダードとは思わないほうがいいです。
【正解数の目安】
600点目標:11問正解
700点目標:13問正解
シングルパッセージ(No.147-175)は標準レベルの問題が多かったですが、文章量が多めなので、全体的には難しいと感じる方も多いかもしれません。たとえ文章量が多く、時間がかかっている印象があっても、焦りは禁物です。急いだところで精度が落ちて答えが見つけにくくなるだけで、かえって時間を食います。落ち着いて丁寧に読むのを原則にするべきです。個々で見ると、No.153, 164, 172の3問はかなり難しいです。難易度の高い問題で止まらないことも大事ですね。
ダブルパッセージ(No.176-185)は難易度は標準レベルで、文章量も普通です。No176-180のセットのほうが解きやすく、600点目標の人でも全問正解が狙えます。No.181-185のセットは記事があるため、難易度が少し高めです。No.184はかなり難しいので、ここで時間を食ってしまった人は、潔く捨てるという選択肢を身につけられると良いかと思います。
トリプルパッセージ(No.186-200)も難易度は標準レベルですが、どのセットも情報量が多くてやっかいです。とくにNo.186-190のセットには人名が凄まじいほど出てきました。いちいち探すのに時間がかかる面倒な問題です。こういう時に焦ってしまうと見つかるものも見つからないので、落ち着きが大事です。No.196-200も似たような雰囲気ですが、やはり落ち着いて情報を整理することが肝心です。多くの情報がぎゅっと詰まっている文書を読むのが苦手な人はせっかちなのかもしれませんね。個々で見ると、No.199だけは引っかけのトラップにかかりやすい問題だと感じました。
【正解数の目安】
600点目標:28問正解
700点目標:34問正解
テスト2の難易度
テスト1とは打って変わって非常に解きやすいパート1でした。文章の長さ、単語レベル、ナレーターのスピード、どれをとってもスタンダードな問題ばかりでした。後半になっても難易度は変わらず、ずっと基本的なままです。公開テストに出たら、きっとみんな解けますね。易しい問題だと解きやすいのは確かなのですが、まわりも解けるから差がつきにくく、さらに1つのミスが非常に大きなダメージとなります。簡単だからといって嬉しいことばかりじゃないんですよね。
【正解数の目安】
600点目標:5問正解
700点目標:6問正解
こちらもテスト1と比較すると、だいぶ解きやすいです。簡単とまではいきませんが、標準レベルですね。公開テストでも同レベルの問題が出ると思って大丈夫です。公式問題集に収録するレベルとしては理想的です。いかにもパート2らしい問題がたくさん含まれており、さながら「パート2の教科書」的なセットです。消去法が使いやすい問題が多かったのも良い点でした。公開テストでも消去法を使うことは必要ですから、練習から慣れておかないといけません。
比較的解きやすかったのは、No.7, 8, 9, 10, 11, 15, 17, 18 です。
とりわけ難しかったのは、No.20, 22, 24, 26 です。
【正解数の目安】
600点目標:18問正解
700点目標:21問正解
先読みの文章量はノーマルで、会話の内容、ナレーターのスピードなども標準レベルです。いたって普通のパート3という感じで、公式問題集にとっては理想的だと思います。
キーワードが拾えれば解ける問題は21問ありました(No.33, 34, 36, 38, 39, 40, 42, 45, 46, 47, 48, 49, 53, 56, 60, 64, 65, 67, 68, 70)。テスト1と同じで6割弱ですね。6割くらいは単語が拾えれば解けると思っておくといいです。
また、ひっかけも徐々に含まれるようになっています。テスト2ではNo.35やNo.62がそうした問題です。ひっかけ問題では、キーワードになりそうな単語がいくつも言われるため、単語だけでは判断ができません。内容を聞いて理解する必要があります。すこし前のTOEICに比べると、「単語だけでは解かせないぞ」という気概が見えますね。
【正解数の目安】
600点目標:30問正解
700点目標:33問正解
テスト1同様、先読みの文章量が少なめでした。公開テストの文章量はもうちょっと多いと思っておいたほうがいいです。全体としてテスト1よりも解きやすい問題が多かった印象です。セリフの意図問題も、グラフィック問題も、難易度は普通です。ただ、トークの内容としてはテスト1よりも難しい・分かりにくいと感じるものが増えた印象です。
キーワードが拾えれば解ける問題は21問ありました(No.71, 72, 73, 74, 76, 77, 78, 79, 80, 82, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 94, 97, 99, 100)。全体のちょうど7割なので、多いほうです。さらっと流れてしまうキーワードも多々あったため、体感としてはそこまで簡単に感じないとは思います。No.73, 87あたりは難しいです。
【正解数の目安】
600点目標:21問正解
700点目標:24問正解
品詞問題が7問(No.107, 109, 113, 119, 121, 123, 127)で、No.119以外はすべて基礎レベルです。No.119も難しいとまではいかないレベルですので、600点目標の場合であっても正解しておきたいところです。
動詞問題が2問(No.103, 117)で、どちらも3人称・単数に関する問題でした。No.117のほうは文構造を見抜くのに少し手こずるかもしれません。構造さえ分かれば簡単な問題です。
その他の文法問題は、No.101が代名詞問題で基本レベル、No.106, 116, 124が前置詞・接続詞問題でいずれも標準~やや難レベル、No.111が間接疑問で標準レベル、No.104, 125が形容詞問題でいずれも標準レベルです。
間接疑問、そして数量に関わる形容詞の問題はテスト1、2両方で出題されていました。これは重点的に学習しておいたほうがよさそうです。
【正解数の目安】
600点目標:21問正解
700点目標:24問正解
品詞問題が4問(No.132, 135, 139, 144)で、いずれも基本レベルです。No.139だけは単語を知らないで難しいと感じるかもしれませんが、それでも正解を選べる可能性は十分にあります。
動詞問題が2問(No.140, 143)で、どちらも基本レベルです。3人称・単数と命令文の知識が問われていますが、3人称・単数のほうはパート5でも出題がありました。ちょっと偏っている感じがしますね。
代名詞問題が1問(No.137)で、これも基本レベルです。
それ以外の語彙問題・文挿入問題については簡単~標準レベルの問題ばかりで、難しいと感じるものは1つもありませんでした。文章量はテスト1よりも多いですが、内容の分かりやすさは変わりません。解きやすいパート6だと思います。
【正解数の目安】
600点目標:11問正解
700点目標:13問正解
シングルパッセージ(No.147-175)はテスト1よりも文章量は少なく、文章の内容も難しいものは1つもなりのですが、選択肢の内容がいくぶん分かりにくくなるように作られており、正解を見つけるという点での難しさがあります。この傾向は、公開テストでも経験があります。本文での記述と、正解の選択肢の内容とのあいだに距離がある感じです。言われてみれば同じことを言っていると分かるのですが、それを解いている時に気づくのが難しいわけです。思い込みがあったりするとなおさら正解を見つけるのは難しくなります。
ダブルパッセージ(No.176-185)は難易度は標準レベルで、文章量はやや少なめです。シングルパッセージで見られた選択肢の分かりにくさはなく、素直な問題ばかりでした。No.181-185の問題では、日本にはない支払い制度が出ているため、「何のことだろう?」と疑問に思った方も多いと思います。馴染みのないことは調べて覚えておくほうが良いです。
トリプルパッセージ(No.186-200)は文章量も情報量も少ないので、かなり楽です。テスト1よりは明らかに簡単ですね。No.186-190は文章量の少なさのわりに難易度は高めです。選択肢の分かりにくさもあれば、設問に絡んでいる単語の難しさもあります。No.191-200の2題はどちらも簡単です。唯一No.199だけ引っかかりやすい問題ですが、それ以外はわりと楽に解けるかと思います。公開テストでも同じレベルのトリプルパッセージは出題されていますので、もしテスト2のトリプルパッセージが解けた方は、ぜひ公開テストでもトリプルパッセージに挑戦してみるのが良いと思います。
【正解数の目安】
600点目標:28問正解
700点目標:34問正解
公式問題集は徹底的に復習を!
前回の公式問題集11に続いて、今回の12でもCDは無く、アプリで音声を聞けるようになっています。ただしabceedのアプリには音声がないので、そこが不便です。大人の事情があるのでしょうが、学習者目線で考えてほしいところです。
公式問題集11は全体的に難しく、初心者にとっては手を出しにくい問題集でした。しかし今回の公式問題集12は難易度がちょうどいいため、どのレベル帯の学習者でも安心して使うことができます。公式問題集は多くの人が使うので、レベルはなるべく一定にしてもらえるといいです。
また、いつも公開テストを受験していて感じることなのですが、最新の公式問題集から似た問題が公開テストに出ることは珍しくありません。問題を覚え込んでしまうくらい復習をすることによって、公開テストでも「あ、この問題わかる!」と思えるようになるのです。
まずは単語からしっかり覚えていくのがいいです。TOEIC用の単語集には載っていない単語をたくさん覚えていくことによって、確実に分かる問題が増えます。さらにTOEIC500点を取れるようになったら、英文の和訳にも挑戦していきましょう。単語の意味をチェックしながら英文を和訳していき、模範解答でどれだけ合っているかを確認します。この作業を何回も繰り返すことで、初見の英語でも意味が取れるようになっていきます。
公式問題集は徹底的に復習をすることによって価値が出ます。解いて〇つけして終わり…というのは非常にもったいない。公式問題集から何も得られていません。ぜひ入念な復習を通して、スコアアップを達成してほしいと思います。
『TOEIC公式問題集12』のレビュー記事はここまでになります。最後までご覧いただき、ありがとうございました。
